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千葉地方裁判所 平成7年(特わ)1742号 判決 1996年3月15日

本店所在地

千葉県野田市中里六一九番地一

株式会社日本総合開発

(代表者代表取締役 伊藤順子)

本籍・住居

千葉県野田市船形二七八四番地

会社役員

伊藤巌

昭和二二年八月一〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官菊田育宏出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社日本総合開発を罰金二五〇〇万円に、被告人伊藤巌を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人伊藤巌に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社日本総合開発(以下「被告人会社」という)は、千葉県野田市中里六一九番地一に本店を置き、パチンコ等遊技場の経営等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人伊藤巌は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人伊藤巌は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、仕入を水増し計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成元年一〇月一日から同二年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億二八九四万四一二五円であったにもかかわらず、同年一一月三〇日、千葉県柏市あけぼの二丁目一番三〇号所在の柏税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一五四万五五七六円で、これに対する法人税額は、所得税額を控除すると納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における法人税額五〇二四万九五〇〇円を免れ

第二  同三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億九〇一六万七九八九円であったにもかかわらず、同四年三月二日、前記柏税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が、一億二八〇四万八七一四円で、これに対する法人税額が四五四五万二一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額六八七四万六七〇〇円と右申告税額との差額二三二九万四六〇〇円を免れ

第三  同四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が三億七四二万一四四八円であったにもかかわらず、同五年三月一日、前記柏税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億三八二九万三一五五円で、これに対する法人税額が八七二五万二六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一億一三一七万五六〇〇円と右申告税額との差額二五九二万三〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

括弧内の数字は検察官請求証拠番号を示す。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官及び大蔵事務官(乙23は抄本)に対する各供述調書

一  川東龍司、豊嶋勝及び柳原久の検察官に対する各供述調書

一  川東龍司(甲23は抄本)、松永功(抄本)、増田豊、松本恵美子、柳原久、石山重行、西野忠男、田中仁史、布川昌平、木村秀実、上田彰、石塚正信及び伊藤順子の大蔵事務官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の電話聴取書及び各捜査報告書

一  登記官作成の各登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲2)及び法人税額計算書(甲5)

一  押収してある法人税の確定申告書一袋(平成八年押第四六号の1)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲3)及び法人税額計算書(甲6)

一  押収してある法人税の確定申告書一袋(同号の2)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲4)及び法人税額計算書(甲7)

一  押収してある法人税の確定申告書一袋(同号の3)

(法令の適用)

被告人株式会社日本総合開発及び被告人伊藤巌の判示各所為は、各事業年度毎に、いずれも法人税法一五九条一項(被告人会社についてはさらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状に照し、同法一五九条二項を適用し、被告人伊藤巌については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金二五〇〇万円に処し、被告人伊藤巌については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年二月に処し、被告人伊藤巌に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする(刑法は平成七年法律第九一号附則二条一項本文により、同法による改正前のものを適用する。)。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 北島佐一郎)

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